「用意」と「準備」と「支度」

「用意」も「準備」も「支度」も似たような意味ですが、どのように使い分けるのでしょうか?

 

広辞苑 第六版』(岩波書店, 2008)(以降、「広辞苑」という。)によれば、

よう‐い【用意】
(1)意を用いること。心づかい。注意。用心。源氏物語(紅葉賀)「大殿の頭中将、かたち―人には異なるを」
(2)準備。したく。大鏡(道隆)「筑紫にはかねて―もなく」。「―が整う」「食事を―する」
(3)(感動詞的に)競技・競走などの開始の構えをととのえさせる合図の声。「―、スタート」

じゅん‐び【準備】
ある事をするのに必要な物や態勢を前もってととのえること。用意。支度。「―がととのう」

し‐たく【支度・仕度】
(1)こまかく見積もること。計算すること。続日本紀(40)「此れを以て―するに、一度の運ぶ所僅かに十一日を支ふ」
(2)用意。準備。あらかじめ計画すること。また、その計画。竹取物語「石つくりの皇子(みこ)は心の―ある人にて」。「食事の―」
(3)(外出・接待などの用意の意から)衣服をととのえること。身じたく。
(4)(近世語)食事をすること。東海道中膝栗毛(7)「空腹となりたるに、―せんとこの茶屋にはいれば」
(5)支度金の略。江戸生艶気樺焼(えどうまれうわきのかばやき)「―が金二百両」

(赤字が一般的に使われる意味)

 

まず、用意(3)は「準備」「支度」には置き換え不可能。

また、「支度」は外出・食事・恰好以外には使わない気がする。(×資料の支度をする)

その他は特に違いがないように思えますが、用例で考えてみる。

「旅行の支度をする」「旅行の用意をする」荷物をまとめる感じ。ただし「用意」はあまり使わない。

「旅行の準備をする」荷物をまとめる以外にも、宿泊や交通手段の手配もする感じ。

「資料の用意をする」どちらかというと、紙の資料を揃える感じ。

「資料の準備をする」資料の作成も含む感じ。

ということで、

用意…物理的に揃える場合によく使う。

準備…物理的に以外にも、態勢・段取りを整えるのにも使う。

支度…外出・食事・恰好に使う。